2009/03/20
Kronos Quartet : Music Of Bill Evans (1985年)[CD]

オススメ度
★★★☆☆
所感
アメリカの弦楽四重奏団のクロノス・クァルテットがジャズピアニストであるビル・エヴァンスの曲をヴァイオリンなどによる室内音楽風にアレンジしたアルバム。クロノス・クァルテットってこれまでまったく知りませんでしたが、その筋では?知名度があるらしい。ジャズのストリングスアレンジというとどうにも偏見でいただけない先入観をもってしまうが、このアルバムに関してはジャズの風味をいかしつつ美しい弦の編曲がなされており、特に違和感なく聴けた。ただしジム・ホールの参加が3曲のみで、美しい演奏ながらもそれほど派手でもないため控えめの星3つ。
ゲストにビル・エヴァンスのトリオでベース奏者であったエディ・ゴメスが1~3曲目に、エヴァンスと何度か共演したギターのジム・ホールが5~7曲目に参加している。
エディ・ゴメスはビル・エヴァンス・トリオのベースとして1966年から1978年まで活動し、エヴァンスの60年代~70年代を支えた人物。ジム・ホールは当サイトでも掲載している通り、エヴァンスとの連名でピアノとギターのデュオアルバムを2枚、エヴァンスのリーダーアルバムに2枚ほど参加している。
ジム・ホールのギターの音色が楽曲の編成を考慮してか、1980年代の彼のギターの音の特徴である中低音の利いたアンプの音ではなく、生音を多めに拾ったと思われるアコースティックな音作りになっている。なんといっても興味深いのは#7.Turn Out The Starsの選曲。この美しくも切なさに満ちたバラードはビル・エヴァンスとジム・ホールの共演アルバムIntermodulation(1966年)で演奏されており、ジムは20年ぶりに録音のための演奏をしたこととなる。エヴァンスは1980年に既に他界しており、ジム・ホールがどのような心境でこの曲を演奏したのであろうか。などと詮無いことを考えたりします。
ちょっと脱線。ジム・ホールは後年になって自身のリーダー作By Arrangement(1998年)でエヴァンスの代表曲であるWaltz for Debby(ワルツ・フォー・デビイ)を選曲していることからも、ビル・エヴァンスに敬意を表していることが伺える。ちなみにそのアレンジでは旋律を歌唱隊の歌声にするという、ジャズギタリストにしては大胆なアレンジをしている。By Arrangement にあるジム・ホールの養女デブラのライナーノーツによると、この歌唱アレンジに至った経緯は、ビル・エヴァンスの曲に歌詞をつけてボーカルアルバムとしてリリースしたジャズボーカリストのトニー・ベネット(Tony Bennett )の作品に着想を得た、と解説している。
てことで、マニア向けな感じなので余力があれば査収してみるとよいかも・・・な1枚。
詳細
- メディア
- CD
- アルバムタイトル(原題)
- Music of Bill Evans with Special Guests Eddie Gomez & Jim Hall
- アルバム名義
- Kronos Quartet
- アルバムタイトル(邦題)
- N/A
- アーティスト表記(日本語表記)
- N/A
- 収録年
- 1985,Fall
- 発売元,レーベル
- Original issued : Landmark Records LCD-1510 / LLP-1510
- 所有盤
- 海外CD
- 制作発売元
- ユニバーサル クラッシックス&ジャズ
- リイシューCD発売元
- Savoy Jazz / SLG,LLC.(Savoy Label Group)
- CD発売日
- 2004
- 規格品番
- SLV17405
- UPC
- 795041740526
- 定価
- N/A
曲目
- Waltz For Debby
- 作曲
- Bill Evans
- Very Early
- 作曲
- Bill Evans
- Nardis
- 作曲
- Miles Davis
- Re: Person I Knew
- 作曲
- Bill Evans
- Time Remembered
- 作曲
- Bill Evans
- Walking Up
- 作曲
- Bill Evans
- Turn Out The StarsTurn Out The Stars
- 作曲
- Bill Evans
- Five
- 作曲
- Bill Evans
- Peace Piece
- 作曲
- Bill Evans
演奏者:Kronos Quartet
- David Harrington
- first violin
- John Sherba
- scond violin
- Hank Dutt
- viola
- Joan Jeanrenaud
- cello
演奏者:Guest
- Eddie Gomez
- bass (on tracks 1,2,3)
- Jim Hall
- bass (on tracks 5,6,7)